衝撃荷重と面金重量 2006年08月21日更新


日本拳法の特徴である実撃を可能にした鉄面は改良が遅れ基本的な構造は70年以上同じだった。
衝撃緩和対策は本来面布団の改良で行わねばならないが、面金を頑丈にする方向に進んだ。
この事が拳負傷増加と頸部損傷増加の原因になっていると考えている。
科学的考証、特に物理的考証が不足した結果重たい面が安全と思いこんだと思われる。
徳島大学渭水拳友会で各種重量の面金について実体験した結果、面金は軽くても衝撃緩和クッションとその機構次第で衝撃を緩和できる事を実証した。
高度な理論よりも徳大式防具面を適切に装着すれば直ちに理解出来ます。(論より証拠の良き例

面金重量 現在の防具面を構成する金属棒は8mmφが主流になっている。
個人的には7mmφを昭和50年から平成17年迄使用し、現在は全6mm面金から5.5mm面金に軽量化しに問題は感じていない。
現在でも重たい面が安全だとの考えが根強く蔓延している。
科学は実験を基礎として構築されてきた。
非科学的な思い込みは実験・実証で消滅する。
硬式野球で使用するキャッチャーマスクの重量は僅か600g前後しか無い。
野球の科学的考証は日本拳法と比較出来ないほど進んでいる。
試作した5.5mm面金を採用した軽量徳大式防具面は約1.6Kgになっている。
徳大式グローブで打撃されても変形しないだけの強度はある。
8mm公式防具面と比較しても遙かに衝撃は小さい。
もし疑問を持つならば試用すると直ちに性能を理解できる。
頭部を直接打撃する武道の安全性が高いとは言えない。
如かしながらこの武道を好む者の安全性を向上する必要はある。
衝撃吸収特性の悪い防具面を厳重に装着した姿は甲虫的である。
表面外傷のみ防止できるが脳震盪防止は不十分である。
軽快に動ける防具面の重さは成人男子でも2Kgよりも小さいだろう。
私見として1.5Kg強が最大と考えている。
その試験用として軽量5.5mm面を試作した。
例えば手に300gなら鉄亜鈴を握り全力で拳を出せる。
この重量が1Kgになれば筋肉或いは腱を痛めるだろう。
頭部を支える頸部筋力にも同様の考えが適用できるのが常識と思う。
運動工学、力学の専門家の意見を聞き科学的考証を深めるのが良い。
熟練者の
衝撃緩和対策
一般練習生が防具面を改良するのは技術的に難しい。
熟練者は面を僅かに緩めて装着する等して衝撃を緩和していたと聞く。
この方法で衝撃緩和が出来る理由を説明する。
面金を頭部に紐で縛り付けると面布団に圧縮応力が発生する。
面金打撃によりこの圧力よりも高い圧力が発生した場合は、面布団が収縮することにより衝撃を緩和する。
逆に低い場合は打撃力は直接頭部に伝達する。
所謂、予圧と考えればよく、この予圧力が衝撃を緩和する圧力敷居値になる。
熟練者が僅かに緩くすることで敷居値を下げ衝撃緩和を経験的にし易くした。
初心者は単純にきつく締め付けるので敷居値が高くなり軽い筈の打撃でもクッション無しで打撃された事になる。
自身の場合は面布団を顔の形状に適合する様に小型布団を5個追加縫いつけ衝撃を均一加重として受ける様に改良していた。
この方法は面布団の接触面積を最大限まで増加して単位面積あたりの予圧力を低下させている。
部員に試用させたところ市販防具面より明らかに衝撃が少ないとの評価を得ている。
当然、顎先に打撃圧力が直撃しない構造になっていた。
但しタオルを使わないので装着も簡単だったが、今になって考えると相当不潔だった。
従来の防具面でも工夫次第で多少なりとも衝撃は緩和できる。
一般の練習生には分かり難い工夫でもある。
初めから衝撃対策を付した防具面なら無用な努力は必要としない。
打撃エネルギー
伝搬
運動量 運動量の計算は複雑になるので作用を分解して考える。

1.グローブで面金を打撃する。
  計算式のとおり面金の移動速度は打撃側重量と反発係数が関係する。
  皮革表層直下の硬質クッション材が硬い場合は、衝撃が大きくなる。

2.面金がクッション材を加撃する。
  面金は重い方が慣性が大きくなる。
  打撃の速度は10m/sec以内。
  低反発特性の高いクッション材が良い。

3.クッション材が頭部を加撃する。
  額は強い衝撃を受けれる。
  顎先は打撃が加わらないようにする。
硬質殻として
の面金
運動量の伝搬には衝突する物体間の反発係数が関係する。
グローブと面金の接触時間は20msec以下と推定できる。
面金が重いほど慣性により頸部負担時間は長くなる。
クッション材を適切に選択すれば頭部への面金重量の影響は少ない。
従来は面金と面布団を含めた重量を面の重さと考えている。
面金を軽くしてクッション材を重くしても頭部から観ると同等になる。
結論としてクッション材の衝撃吸収効果について一層の検討を要す。
頭部防護具として防具面を考える場合は最新の衝撃吸収材採用が不可欠になる。
但し拳法防具として形状と重さは制約される。
使用できるクッション材の量には限度があり衝撃吸収機構にも改善が必要になる。
徳大式防具面では地震対策で知られている制震・免震衝撃吸収方式(PAT.P)を採用した。

安全な防具面 安全な防具を考えるより直接打撃を止めるのが良いと部外者は考える。
日本拳法愛好者は少ないが直接打撃こそ魅力だと。
生活する上で怪我は本人だけで無く家族も非常に困る。
安全な防具を開発する基礎的な部分に面金の重量があり徳島大学渭水拳友会としての見解を掲載した。
科学的なデーターも重要だが測定するには多大な費用が必要になる。
部員と自らが実体験する事で効果を調べた。
科学的な測定結果に僅かな差が出たところで意味は無いと考える。
経験的に体感し明らかな差があるならば科学的有意差は大きく存在する。
グローブ表層直下の硬質クッション材について詳細規定が無く硬いゴム等を追加封入して拳を保護する選手が居る。
この改造は打撃された防具面の衝撃が大きくなり本来は禁止すべきである。
グローブと防具面に低反発クッション材を活用する事で両者の衝撃を緩和でき少しでも完全になる。
練習時の安全を確保するのは指導者の義務であり何らかの制約より放置する事は出来ない。
衝撃緩和対策は防具装着方法にも影響される。
指導者は力学的知識を持ち科学的に衝撃緩和について説明できる必要がある。
「拳を痛めるのは拳の握り方と鍛え方が悪い」等の考えだけで安全を確保出来ない。
体型に個人差は大きく適合性を高めるために防具面とグローブは個人用として所有すべきです。安全性と防具の個人所有は大きな関係がある。
徳大式防具の試用者から広く意見を聞き更に改良を進めたい。

問題提起 1.重たい面が軽い面よりも安全性が高いと言えるのか。
2.クッション材が同一条件ならば正しいだろうが異なる場合結果も異なる。